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幻燈8号について(1)

¶ 些事のはず些事のはずと繰り返す動揺存外に大きく、旧友を送る新宿南口そこここに影を見る、また春が来る。

¶ 幻燈8を入手した。入り口の1,680円にはギョッとしたが、価格を忘れるだけ久しぶりの北冬ワールドなのである、胸高鳴り、これ以上にない期待感をもって読んだ。何しろ普段ヤンジャンヤンマガモーニングというシビアなローテーションをこなしているから(だから値段に驚いたのだ)、暗い漫画というだけで嬉しくなる。いや、北冬イコール暗いわけでは必ずしもないのだが。
 結論から言うと、……今号は凄い。決して安くはない1,680円を安く感じさせる良作の目白押しだ。ここに、確かに漫画界の未来があると、些かキャッチコピーじみた賛辞を贈っても決して間違いではないだろう。

¶ 8号の目玉である、つげ忠男の新作「曼荼羅華綺譚」は、2001年6月よりWebにて公開されているから、厳密には新作ではない。しかし、一時は「描かなくていい」とまで言われた無頼の面影が、「シュールレアリズム」の誘惑を絶ち、勇猛なる長いリハビリを経て再び、表現の地平に戻ってきた。この事実は計り知れないほど重い。いかにしてつげ忠男がカムバックしたのかは、彼が何を描き得たのか、そして何を描き残していたのかという問いに直結する。「曼荼羅華綺譚」のゴッホ、或いは向日葵に、かつての荒荒しさが失われていることのみをもって、つげ忠男の戦後が終わっただの、老境と揶揄するのは簡単であるが、私にはあまり意味の無いことであるように思われる。
 注目すべきは、本作において、感情というものが丁寧に抑制されて話が展開していることである。感情を押し殺す男を描いているわけでもなく、吹き出しもしっかりと枠付けられ、登場人物は能動者として位置づけられている。にも拘らず、一向に誰が何を考えているのか分からず、誰がどういう感情を持っているのか、本当のところが見えてこないのである。
 もとより、抉るような悲しみは微塵もない。生死に関わる緊張感も無い。時折忠男特有の漫符やスピード感のあるコマ運びで読み手の感情を煽る箇所もあるが、最終の一枚絵でさえ、女は柔和に、執着無く、そっぽを向いて描かれている。この不可解な丁寧さが、本作が「日本三文死集」などとは異質な作品になるであろうことを物語っている。 静かな不安。まさに『雨季』の頃の忠男作品が持っていた情感であり、未だ地続きであるはずの柘植忠男がそこにいるのだと感じた。私などはすぐに「平成忠男版ゲンセンカンだ!」と断定してお祭り騒ぎをしたくなったが、残念ながら謎は謎のまま次号に持ち越されてしまった。後編が読めるのはなんと1年後である。ゆっくりと待ちたい。

¶ そして片桐慎治である。伝説の同人誌『跋折羅』で活躍した漫画家の、奇跡的とも言える復活は、8号の隠れた目玉であった。「犬になる」に言葉を失った。何よりもまず、私財を投げ打ってでも、この作家の埋もれた作品を単行本にしなければならないと思った。これは大名作であると思う。「犬になる」には、あのつげ義春が、私小説という選択肢を採ったがために放棄せざるを得なかった情念の原色の世界が広がっていた…もとい、濃縮されて放り出されていた。方法論的当然の帰結だったとしても、つげは「沼」から「ねじ式」を生み、「ねじ式」から夢モノへ歩を進め、そして夢モノを描き続けられなかった。「ねじ式」を出発点に進んでいった多くのフォロワーたちが歴史の中に消えていった。「犬になる」は「ねじ式」の手前で枝別れした結果である。曖昧で申し訳ないが、今まで示されてきた「以後」のなかで、ありうべき姿の最良の形であると思った。
 黒犬のモチーフが、丁度『別離』のバイバイを観察する側の存在だったから、そう思ったのではない。いや、実際のところは、そうなのかもしれない。つげとの関連を強く意識させたのが共通するベタ塗りの犬だったというよりは、作品構造自体が非常に近似しているように思えたのである。遠近の計りづらい不連続な犬と、説明のない抽象が、悲しみただそれだけのために存在し、効力の増強/減退といった小道具的役割を少しも放棄しようとせずに沈黙の裡に「一度会ふべき神を待」っているという閉塞した世界は、その窮屈さ、不自由さも含めて、つげ作品と合わせ鏡の位置にある。
 生とは、つまるところ世界との断絶の連続である。そしてそのことをありのままに描くためには、ありのままに描いてしまっては駄目なのである。意味に縛られていると知ったとき、読者は作品を紙の上の現実と見、現実は現実でしかなくなってしまう。奇しくも菅野修が今号で書くように「幽霊の実体は悲しい言葉でできているの」であって、我々は言葉の輪郭を持った幽霊を信じ続けなければならない。8号に掲載されているもう一作の「雷鳴」は、「犬になる」程の感銘を与えはしないが、過剰な比喩は、コマを飛び越える直線の流れ星にさえ不自由を強制することを示したという点で、教示的であった。

¶ まだまだ書き足りない。考えたいことがたくさんある。何故木下は澁澤龍彦の「人形塚」を再現するようなかたちで漫画を描いたのか。通称・海老ちゃんの「ギラギラ」がいい。あっ、マキさんだ、『駄菓子屋』のサイン本入手したんですよ!座談会では語られなかった「崩さないのか」問題の続編。以下次夜。
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ふはっ

つらい。つらすぎる。こんなにつらいとは思わなかった。
「麻生すげえ」としか言えない。


『全誌チェックselect』、第二週に突入しました。合併号シーズンも終わり、いよいよ商業誌ワールドが本領発揮する季節です。

ん?
第二週?

・・・ひょっとしてもう周回遅れか!?



いや、そんなことはないか。

7年ぶりに週刊誌読みを再開し、ただただその分量に圧倒されています。空白の7年間も漫画から遠ざかっていたわけではないので、幸い読み方が分からないということは全くなかったのですが、何というんでしょう、こう、非常につらい。読みづらいというよりも、読むのがつらい。

本当は週刊誌レビューみたいな短評を書いて、変わり行く自分を記録する楽しみを味わう予定でしたが、とてもじゃないけれど、そんな時間も気力もありません。こうしてブログを書いている間にもまた一冊、また一冊と週刊誌が発行されているのかと思うと吐き気がします。

暗いのが読みたい。暗いのが。
ミニコミ読みたい!

そういえば、彷書月刊につげ忠男さんが漫画を描いていましたね。

雑感・マンガは面白かったのか?(実践編)

まだ「マン喫難民」など、言葉さえもなかった10余年前、私はマンガが読みたくて読みたくてたまらなかった(他意はない)。単行本はもちろんのこと、「全誌チェック」を標榜し、入手可能な限りの漫画雑誌を読みまくっていた。月火水木金土日。まさに貪るように私は漫画を読んだ。もちろん金は一切なかったから、『ALWAYS 地元の新古書店』で立ち読み。休みの日は朝起きたらすぐ新古書店に行き、昼まで立ち読みし、昼食を挟んで夕食まで立ち読みをした。続きが気になると、一日のうち、何度でも新古書店に駆け込んだ。

それでも彼の地・マンガ大国は世に言う黄金時代たるジャンプ600万部時代を迎え、小遣いをやりくりして新刊を買わせる勢いがあった。ケチでマヌケな新モンゴロイド・金ゐ少年に無い袖を振らせるまでに熱中させた漫画の魔力たるや、王様の面目躍如である。遅咲きのマンガファンに日替わりで至上の楽しみを提供した当時の漫画は、私にとってまさに娯楽そのものであった。

以前ブログで、「マンガはつまらなくなった」言説を引用し、「マンガは面白かったのか?」とまで書いた]私だが、紛れも無くマンキチだった時期があった。熱狂はつげ義春との出会いによって180度の方向転換を余儀なくされ、以後いくらマンガを読んでも物足りない、飢餓感ばかりが募る体になってしまったわけだが、本当にそれはマンガ観の変化によるものなのだろうか。豊穣論者の根底に見え隠れする「リテラシー退化」が私の中で起こりつつあるだけではないのか?あるいは、旧作に対する、本質とは異なる観点からの意味付けがすっかり終了してしまい、そこに安寧としているだけではないのか?

2008年は「劇画」誕生50年の節目であるという。史的変遷の理解を深める絶好の機会であると思うが、漂流は辰巳のみならず、我々にも課せられた使命であり、いま私はどこにいるのかを摑むための「漫画」探しを敢行するタイミングとしても絶好である。奇しくも作品は誰のものかという議題が耳に入ってきたが、私の見解としては、誰のものかは知らないが、漫画は読者として読まねばならず、読まれなければならない。読者は漫画を読まねばならない。私はマニアのリングから、読者の荒野に進むために、再度、マンキチだったあの日々に戻ろうと思う。


・・・・「全誌チェックや~」と気負ったものの、[この量]ではさすがに追いきれないので、まずは超メジャー、「えっ、これも読んでないの?」レベルまで絞ろうと思います。


【週刊誌】

①「週刊少年ジャンプ」集英社
②「週刊少年マガジン」講談社
③「週刊少年サンデー」小学館
④「週刊少年チャンピオン」秋田書店
⑤「ヤングマガジン」講談社
⑥「ヤングジャンプ」集英社
⑦「ヤングサンデー」小学館
⑧「ビッグコミックスピリッツ」小学館
⑨「モーニング」講談社
⑩「漫画アクション」双葉社
⑪「コミックバンチ」新潮社


【隔週刊誌】

①「ビッグコミックオリジナル」小学館 5日・20日
②「ビッグコミックスペリオール」小学館2・4金
③「ビッグコミック」小学館10・25日
④「ヤングガンガン」スクウェア・エニックス1・3金
⑤「ヤングアニマル」白泉社2・4金
⑥「イブニング」講談社2・4火
⑦「コミックチャージ」角川書店1・3火


【月刊誌】

①「IKKI」小学館25日
②「ジャンプSQ」集英社4日
③「アフタヌーン」講談社25日


【隔月刊ほか】

①「マンガ・エロティクス・エフ」太田出版
②「アックス」青林工藝舎
③「モーニング2」講談社




こりゃ無理だな・・・・

謹賀新年

CCF20071230_00000のコピーのコピー


明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

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