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念願叶って三連休

■まずは土曜日。この日初日を迎えた三年に一度の現代美術の祭典・【横浜トリエンナーレ2008】に行ってきた。

今回で三回目とまだ若いイヴェントだが、既に国内最大規模を誇り、協賛企業にはずらり大手一部上場企業が並ぶ。金融機関の名前も見えるが、資金は国際交流基金、横浜市を中心とした協賛金で賄われており、一応の黒字は出しているようだ(横浜市のホームページで【収支レポート】が閲覧できる)。直近分2005年は見つからなかったが、初回のトントンぶりを見ると、第二回にしてクワンドリエンナーレたらざるを得なかったのも頷ける。

余談だが、国際交流基金といえば、2001年に夏目房之介監修でつげ作品を含む「現代日本短編マンガ展」の欧州巡礼を展開していた。大丈夫か、独立行政法人。

今回のテーマは「TIME CREVASSE」。

「時間は、ときに捩れ、渦巻き、ぶつかりあい、そこに予想をしない亀裂が生じ、そこに深淵が顔を覗かせます。アートの力は、まずは、その深淵を直視し、いうならば「タイムクレヴァス」のかたわらに佇むことによって、個人と社会、国家、性差、世代差、人種、宗教といった相互の差異を、現在の自分自身が置かれている状況を含めて、徹底して感じ取ることから生まれ出てくるのではないでしょうか。」

ざっくり言うと、「現代アートのサラダボールやぁ~」というところか。

新港埠頭?赤レンガ倉庫、新港ピアなど、会場が分散していて、駅からも遠い。ひとつひとつ圧巻の規模、作品数ではあるが、初日・三連休・晴天・デートスポット・芸術の秋・ジャパンクールと、好条件揃い踏みの中で、集客は今ひとつ。中華街の方が確実に盛り上がっていた。

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タイトル「も=す=ら(原題:Mo=th=ra)」

映像作品が多く、難解作品が多く、現代アートなのに使っているテレビは薄型じゃないだとか、なぜかくもパフォーマンス作家は太っているのだとか、妙なところにばかり気が行ってしまうのは入門者故か。

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外国人は三度の飯よりボディペインティングが好きだ

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壁からゴムで吊るしたジャガイモを引っ張る田舎風姉ちゃんが見れるのは横浜トリエンナーレだけ!


■炎天下歩き詰めついでに、同時開催の京急による区画整理事業「地域とアートの共存を通して街並が新しく生まれ変わることをめざす」イヴェント【黄金町バザール】にも足を伸ばした。

黄金町と言えば、ホームページやパンフレットには婉曲に書かれている「違法な特殊飲食店が軒を連ねていた」(俗称で言うところの【ちょんの間】である)町で、市によるここ数年のテッテ的な"浄化作戦”によってそれら「特殊飲食店」が一掃されたとはいえ、現代美術と互換性の高い土地柄とはお世辞にも言いがたいイメージがあった。

確かに古くから国際色は豊かだったろうし、伊勢崎町から徒歩圏内と、立地にも恵まれている。しかし、アートな欧米系外国人観光客がぞろぞろ高架下を練り歩くのはいかにもシュールで、どう考えてもミスマッチだろうと思っていた。が、今回バザーに参加してみて、嫌味なく、アートが地域に根付いていることを感じた。

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往時を偲ばせる小料理屋の中に、二階から千羽鶴のワークショップ。光と影のインスタレーション。演舞・骨董品屋。

川沿いを歩いていくと、地元住民らしき人物とすれ違う。みな、ショップや、練り歩く我々を見て何か話している。今日から始まる大量のビジターに、どうやって歓迎の意を表すのか協議しているのだろう。住民を巻き込む高い戦略性、ここに、凡百の「ムラおこし」とは決定的に異なる、バザールの特色がある。

方々から京急の単語が漏れ聞こえてくるのが、また素晴らしい。沿線住民に並々ならぬ愛着をもって語られる大手私鉄の、頼りがいある地域密着型PJ遂行能力によって、必ずやこの「街並新生計画」は成功するだろう。お題目ではない、衣食住にわたる新しい経済活動を導入しながら、街の在り方を見直すアイデア、イベントなど多彩な分野を取り入れて全体が構成されており、それらすべてが一体となって、豊かな経験が生まれる場所を作り出していく予感があった。

人はアートでひとつになれる。

アート・イズ・パワー。

イッツ・ビューティフル・デイ。

レニー・クラヴィッツ。


■日曜日は今何かと話題の【人情紙風船】を見た。今や【1,000円で山中貞雄が手に入る】時代である。またいい映画だこりゃ。パブリック・ドメイン様様。


■いよゝ最終日、本日は皇居散策ついでに東京国立近代美術館、工芸館を訪れる。トリエンナーレで「ボク絵が見たいんだよね」という不満を存分に募らせたところで、開催中の企画展が「現代美術への視点6 エモーショナル・ドローイング」展。今や「ムラカミ&ナラ」として、ジャパニーズモダンアートの二枚看板に上り詰めた奈良美智が目玉で、展示数も多い。国内人気も存外に高いようで、結構な入りだった。

やはり形容し難い作品のオンパレードっぷりは現代美術の面目躍如。ウゴ・ウントロというインドネシアンの、緑色の家に押しつぶされた棒人間の絵が気になった。タイトルは確か「駄目かもしんない」(違うかもしれない)。大丈夫なのか本当に。

どうしたものかと館内を歩き回っていると、常設展コーナーで思いがけない拾い物を見つけた。そもそも少し前に美術誌で特集された川瀬巴水が今日の趣旨だったが、版画だからか、どうも明るくっていけない(一番暗くて【これ】ですから)。ポップではあるが、つげ先生だったらもっと風景がしっとりするのになあという感想は変わらず。

4Fの文展開催前後の明治・大正作品から始まって、階を下るごとに時代が新しくなっていく形式になっていたのだが、3Fの「戦時と「戦後」の美術」で足が止まった。松本竣介【Y市の橋】、香月泰男【水鏡】、どれだったか忘れたが、堅山南風もよい。

さすがは独立行政法人、結構な有名どころもごろごろしており、例えば草間彌生、クレー、カンディンスキー、岡本太郎、おお、俺でも知ってるやんかと。 パンフレットにはさらに「鳥海青児 畑 やや暗」と走り書きしてあった。
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本日酷暑につき

■仕事の関係で久方ぶりの浅草詣したついでに、瓢通りにある【江戸下町伝統工芸館】に行ってきました。館内には下町職人たちの作品(箒のような日用品から絵画までさまざま)がオークション方式で展示されており、100円刻みで行われる入札結果をおっちゃんやおばちゃんらが毎日観に来るという、まあ画期的なのかどうなのかよく分からないシステムを採っていました。

何しろ酷暑でしたから、入館料無料につられて涼みに入っただけなのですが、また微妙な値段の箪笥やらの中に一点、目を引かれる作品が。

080724.jpg←クリックで拡大できます

これが誰の何の作品なのか忘れてしまったのが極めて遺憾ですが(長尾健一郎氏?の複製版画?)、伊藤若沖的な柔らかでポップなフォルムが魅力的ですよね。写真は隠し撮りしました。

■気温は昼に向けて上昇の一途、銀座線に飛び込んですっかりマイ・タウン的渋谷の町に。Bunnkamuraミュージアムで開催されている【青春のロシア・アヴァンギャルド展】を観てきました。もちろん目的は「マレーヴィチ」!【ユゴーがえらく傾倒していたシュプレマティズム】については、正直なところよく分からないまま今日まで来てしまったわけですが、まあ実物を拝めるんなら拝んでみようやないかと思い、断腸の1,400円を払いました。

うーむ、むむむむむ。なんとも言い難い。GEISAI風に気になった作品をピックアップしてメモしておきます。

・アニス・フェルド「東洋の幻想」

みんなフォルムだとかコンポジションだとか頑張ってるのに画面暗すぎぼんやりし過ぎのベルセルク的押し出しが一番見やすいって、どういうことよ!

・エル・リシツキー「プロウン」

唯一枠線で囲まれた鉛筆画。マンガの一コマとして見ると、いかにマンガって縛りのきついジャンルだか分かりますよね。

・アレクサンドラ・エクステル「女漁師たち」

高野文子的なアングルと、ポップセンスが光る色の分割。

・カジミール・マレーヴィチ「スプレマティズム」

乗っかっていた白が正方形だった「白の上の白」ではなくて、クロスになった作品。レーザープリンターがあったら彼らアヴァンギャルドたちは定規を捨てるのだろうか。マレーヴィチは捨てないでしょうね。

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